8月11日(木)「風鈴」

暑い夏を涼しく過ごす先人の知恵に「五感の涼(りょう)」があります。
 風を通して目にも涼やかな簾(すだれ)や葦簀(よしず)、爽やかな肌触りの浴衣や甚平、家の前の道や庭などに打ち水をすると立ちのぼる土の匂いなどが該当します。
 この時期にかぶりついて食べる甘いスイカは火照った体を冷やしてくれます。
そして、音を聞いて涼味(りょうみ)を感じさせるものの代表格が風鈴です。
 風鈴の起源は約二千年前の中国で、風の向きや音の鳴り方によって吉凶を占った「仙風鐸(せんふたく)」であるといわれています。これを僧侶が日本に持ち帰って青銅製の「風鐸(ふうたく)」が魔除けとして寺院のお堂や塔の軒先に吊るされるようになりました。
 江戸時代になると、ガラス製の風鈴が登場しました。やがて庶民の間に広がり、ガラス製の江戸風鈴、金属製の南部風鈴、陶器製の伊万里風鈴などが作られるようになりました。
 虫の声を聞き分けて趣を感じられるような日本人の繊細な耳が、風鈴の文化を根付かせたともいえるかもしれません。

一般社団法人倫理研究所 職場の教養8月11日(木)「風鈴」より

<今日の心がけ>
五感で涼しさを感じましょう