10月22日(土)「焦がれる」
君待つと わが恋ひをれば わが屋戸(やど)の すだれ動かし 秋の風吹く
飛鳥時代の皇族・歌人である額田王(ぬかたのおおきみ)のこの和歌は『万葉集』に掲載され、天智天皇への恋焦がれる気持ちを表した歌とされています。
簾が風になびく度、<あの人かも・・・>と胸が高鳴る心情は、時代を超え、今を生きる私たちにも相通ずるものを感じます。
現代においては、メールやチャットなどで、瞬時に言葉のやり取りを交わすことができますが、昔の人が簾のなびきに心動かされるのと同じく、携帯電話の着信音が鳴る度に、ハッとした経験がある人も少なくないでしょう。
「焦がれる」という言葉をあまり耳にしなくなった背景には、人や物、出来事に対して、それ程の気持ちを抑えるまでもなく、色々な物が容易に手に入り、体験できる時代になったことが一因とも考えられます。
今一度、そのような時代だからこそ、「本当に必要なものは何か」と、自分の心に正直に訊いてみることが必要なのかもしれません。
一般社団法人倫理研究所 職場の教養10月22日(土)「焦がれる」より
<今日の心がけ>
大切なものを見極めましょう