8月25日(金)「ひぐらしの声」

八月も終わりに近づいてくると、夏の終わりを告げるかのように、ひぐらしが鳴き始めます。
 まだ暑さの厳しい日が続きますが、鳴き声を聞くだけで季節の移ろいを感じさせてくれます。「カナカナカナ」という鳴き方が特徴的で、九月頃まで朝や夕方にその声を聞くことができます。
 現存する日本最古の歌集『万葉集』の中には、蝉の和歌が十首(じゅっしゅ)ありますが、その内の九首は「ひぐらし」が詠まれています。
 隠(こも)りのみ 居ればいぶせみ 慰むと 出て立ち聞けば 来鳴(きな)く晩蝉(ひぐらし)
 作者は三十六歌仙(かせん)の一人である大伴家持です。「家に引きこもってばかりいて気が滅入るので、気晴らしに外に出て耳を澄ますと、もうひぐらしが来て鳴いている」という意味です。家持は鳴き声に癒されたのかもしれません。
 毎年聞こえてくるひぐらしの声ですが、短い期間で懸命に鳴くその声に、耳を傾けてみてはいかがでしょう。

一般社団法人倫理研究所 職場の教養8月25日(金)「ひぐらしの声」より

<今日の心がけ>
自然の声に耳を傾けましょう