8月31日(木)「海から豚がやってきた」

 1948年8月、アメリカから一隻の船が沖縄に向けて出港しました。
 このジョン・オーウェン号には、ハワイへ移住していたウチナーンチュ(沖縄生まれの人)7名と、550頭の豚が乗っていました。太平洋戦争で被害を受け荒廃し、食糧難となった沖縄県民を支援するためです。
 沖縄本島に到着するまでの28日間の航海は、戦時中に設置された機雷や、三度(みたび)に亘って遭遇した嵐など、命がけだったと伝えられています。
 陸揚げされた豚は、沖縄県内すべての市町村に分配されました。緻密な繁殖計画のもと順調に増え続け、4年後には10万頭を超えたといいます。これを境に沖縄の食糧事情は改善され、多くの人命が救われました。
 この経緯は「海から豚がやってきた」と題して記念碑に刻まれ、教科書への掲載やミュージカル化などによって、県内で広く知られています。
 ウチナーンチュの人々は他者の悲しみに共感し、相互扶助の精神にのっとって行動しました。それが沖縄の復興につながったのです。

一般社団法人倫理研究所 職場の教養8月31日(木)「海から豚がやってきた」より

<今日の心がけ>
互いに協力しましょう