10月13日(金) 式三献(しきさんこん)
私たちが日頃から何気なく使っている「数」には、単に数量を表わすだけでなく、伝統に基づいた意味が込められていることがあります。
和食の席では、まず初めに前菜から出され、次にお造り(刺身)、焼き物、蒸し物、揚げ物などが運ばれ、それらを食べ終わった後にご飯と香の物(お新香)、最後に季節の果物などで締めるというのが一般的な流れです。
この中で最初に出される前菜は、三種盛りであることが多く、室町時代の足利将軍家で行なわれた「式三献」という儀式に由来するといわれています。
「式三献」とは、祝いの宴に先立って催された儀式のことをいいます。まず一の杯に注がれた酒を主客より順に列席者が飲んでいきます。これを一献(いっこん)とし、二の杯、三の杯を順番に回し飲みして三献になります。
これは、仲間意識を高めることが目的だったといわれています。また、三という数字は縁起が良いとされ、お祝いの席に用いられてきました。そのほかの場面でも数に注目すると、日本人の知恵や伝統に触れることができるかもしれません。
今日の心がけ◆数に注目してみましょう