2月26日(月) 上総掘り

現代社会においては、手間がかかる伝統技術は敬遠されがちです。一方で、先進的ではないからこそ重宝され、活用されるケースもあります。

江戸時代、井戸の掘削は人力の「掘り井戸」や地中に鉄棒を突き入れる「鉄棒式」が普及していましたが、35メートルほど掘るのが限界でした。

明治時代、現在の千葉県君津市では、竹ヒゴや鉄管などを組み合わせた掘削技術の考案により「上総堀り」が完成しました。

深さ360メートル以上も掘削可能な上総堀りは全国に普及しましたが、徐々に衰退しました。ところが、近年は水不足に苦しむ途上国で、重機や電力を使わず少人数で掘れる点が評価され、国際貢献に通じるとして注目されています。

伝統的な技術は、身体的な負担が大きく、作業時間がかかるといった面もあります。しかし、利用する人や場所を選ばない等のメリットも多く、自然の材料を使用するなど、環境保護の視点からも注目を集めています。

技術も人も、適材適所で活躍できる場を見つけたいものです。

今日の心がけ◆伝統技術に目を向けましょう