2026年6月10日(水)傘と礼節

傘の扱い方は、日本人が大切にしてきた礼節や他者への配慮が表われています。
日本に傘が伝わったのは6世紀後半ごろで、当初は雨具ではなく、身分や権威を示す儀礼具でした。
「絹笠」と呼ばれ、貴族や天皇の外出時に、従者が頭上に掲げるのが作法でした。
傘は、守られる存在の尊さを象徴する道具だったのです。
江戸時代になると和傘が改良され、武士や町人にも普及し、 雨や日差しをしのぐ実用品として定着しました。
同時に、濡れた傘を屋内に持ち込まない、人に水滴がかからないよう持つといった配慮 が、町の暮らしの中で育まれていきました。
こうした江戸のしきたりは、現代のマナーにも通じています。
駅やオフィスの入り口で傘の水気を払うこと、階段では傘を縦に持つこと、無用に音を立てないことなどは、周囲の安全と快適さを守る行為です。
ビジネスの場においても、こうした所作は、その人の常識や品格を静かに伝えます。
江戸時代に育まれた、相手を思いやる姿勢は、現代社会においても変わらず大切に継承していきたいものです。

今日の心がけ◆傘の所作に学びましょう